財産分与や慰謝料で注意したいトラブルは?

共有財産を隠されてしまった

夫婦といえども、相手に知られないようにコツコツとへそくりをつくっている場合があります。
なかには、金塊や高価な装飾品などを購入して、これらは、夫婦の共有財産なら分割の対象になりますが、実際には、気づかないまま隠しとおされてしまうようです。

離婚したあとで隠し財産があったことに気づいた場合、離婚成立から2年の時効が成立する前であれば、改めて財産分与の請求を起こすことは可能です。
ただし、婚姻中の共有財産であったことを証明する必要があるうえ、ほとんどが処分されてしまうため、請求は困難といえます。

相手の巧みなウソや脅しを受けた

たとえば夫から、「名義が自分のものは財産分与の対象にはならない」とは「この家に住まわせてやるから離婚届にサインしろ」など、巧みなウソや脅しまがいの言葉をかけられることがあります。

離婚前であれば、弁護士などの相談したり、調停を申し立てたりすることで回避できます。
しかし、離婚後や公正証書に署名押印したあとでは、状況は非常に不利です。
そうならないためにも、法律的に知識をもつこと、勇気をもって行動することが大切です。

財産分与の請求権を放棄してしまった

早く離婚したい一心で、思わず「なにもいらない」とつぶやいたら、めぼしい財産をすべてもっていかれた。
という話をときどき耳にします。
口に出しただけでは財産分与の請求権を放棄したことにはなりませんが、誤解を与えるような言動は慎むことです。

このような場合も、時効成立前なら、財産分与の請求を起こすことができます
しかし、「今後、財産の請求は一切しない」と明記した協議書に署名押印してしまうと、請求が困難になるので気をつけましょう。

公正証書の作成に応じない

財産分与や慰謝料の取り決めを必ず文書に残すことは、何度も説明してきました。
人によっては面倒な公正証書の作成をいやがり、無理を言うと合意内容まで白紙に戻されることがあります。
そのときは、覚書や念書にすることを提案しましょう。

作成ポイントは、取り決め内容がわかり、月日、両者の署名押印があること。
法的効力を考えると公正証書のようにはいきませんが、書面に署名したことでプレッシャーを与えますし、口約束よりはかたちに残せます。

離婚前の財産処分を防ぐ保全処分

離婚に伴うお金の問題でもめているときに、相手が夫婦の共有財産を勝手に売却したり、名義を他人に変更したりするおそれがあるときは、家庭裁判所に離婚、財産分与請求などの調停や審判を申し立てたうえで、「調停・審判前の保全処分」を申し立てます。
調停・審判前とは、調停や審判が終了する前ということなので、どちらがを申し立てていることが条件で、保全処分の単独申請はできません。

申し立ての際には、財産を守る必要性や緊急性を証明しなければならず、それを家庭裁判所が認めると、財産の仮差し押さえや仮処分などの命令が出されます。
これには強制執行力があるので、預貯金の仮差し押さえが認められれば、口座が凍結されて勝手に処分できなくなりますし、不動産の処分禁止の仮処分が認められれば、勝手に売却できなくなるというわけです。
このほか、別居中の生活費や養育費をすぐに支払ってもらいたいときにも、仮払いの保全処分も申し立てることができます。

なお、保全処分には、担保として保証金の供託が必要で、対象となる財産の評価額の10%程度の費用がかかります。

  • 調停前の仮の措置
    この方法でも、財産の仮差し押さえや処分禁止などの仮処分を命じてもらうことはできますが、こちらには強制執行力がないので、利用はひじょうに少ないようです。

  • 民事保全
    財産の処分を確実に防ぐ方法として、地方裁判所に申し立てる民事保全もありますが、条件が厳しく、離婚に関する事情は対象外となります。
    申し立てができるかは、弁護士に相談するとよいでしょう。

財産分与と慰謝料の請求期限

  1. 財産分与請求権の時効は離婚成立から2年
  2. 慰謝料請求権の時効は離婚成立から3年

金銭トラブルの予防策

離婚にかかわらず、お金に関するトラブルの予防も解決も、法律が決め手です。
法律のことを知りたければ、弁護士に相談することをおすすめします。

住宅ローンの残る不動産の分与

借金もまた、夫婦で分けなければなりません。
住宅ローンがあるマイホームを売却しても、ローンが残れば一銭ももらえないだけでなく、ほかの取り分から借金を引かれます。
売るか、ローンを背負って所有するか、じっくり考えて結論を出しましょう。